正しい見積り依頼のポイントは、見積りに必要な情報である「機能」と「デザイン」を明確に伝える事です。その際には、内装工事の予算をはっきり決めておく事が大切です。見積書の項目には、設計図に基づいているので、分からない場合は説明してもらいましょう。また、もらった見積書から内装会社を見極める方法は、金額以外に、マージンの差、一式表記かどうか、会社の実績会社の理念や人柄などの部分を、他社と見比べる事です。

これから店舗の内装工事を検討される方は、内装会社に工事を依頼する際、まず最初に内装工事の見積りを取ることになります。

一般的には「相見積り」といって、数社に見積りを取って金額の比較をする事を推奨しています。

しかし、相見積りを取る場合も、最初から1社だけに絞って見積りを取る場合でも、正しい方法で見積り依頼をしなければ、正確な見積金額は出てきません。

極端に言えば、見積りの依頼の仕方によっては損をする事もあり得るのです。

この記事を見れば、正しい見積り依頼のポイント、見積書の見方、出てきた見積りから内装会社を見極めるポイントが勉分かり、内装会社の選定に活かすことが出来ます。

正しい見積り依頼のポイントは、必要な情報「機能」と「デザイン」を明確に伝える事

内装会社が見積りを作る為に必要な情報は「機能面」「デザイン」です。

この2つを、見積り依頼の段階で明確に伝えることで、予測や概算ではない正しい見積りを取ることに繋がります。

では、具体的にどのように伝えると分かり易いのかを見ていきましょう。

機能面で必要な情報は、レイアウトと使用機器を正確に伝えるなこと

「機能面」とは、お店のレイアウトや、実際に使用する機器の仕様(寸法、電気・水道・ガスの容量)などのことです。

見積りを依頼する際には、レイアウトと使用する機器が正確に伝えられると良いです。

しかし、レイアウトに関しては、通路幅や椅子の間隔などの専門的な知識が必要となり、完璧なレイアウト作りは難しいかもしれません。

その場合でも、手書きで良いので、分からないなりにも考えたレイアウトが渡す事は出来ると思います。

打ち合わせを進めることによって、渡したレイアウトが大きく変わる場合ももちろんあります。

しかし、レイアウトが全く決まっていない状態で見積依頼をすると、実際の工事金額との開きが大きくなる要素になります。

最低でも、希望している「客席数」「トイレの数」「必要な収納の大きさ」など、お店の運営にかかわる部分だでもはっきり伝える事が大切です。

使用する機器に関しても、最初の段階で「決まっていない」という方がよくいらっしゃいます。

設備工事(電気・水道・ガス・空調・換気の工事)の見積り金額は、基本的に、機器が決まっていて、その機器に対して行う作業内容から算出する金額なので、「機器が決まっていてこそ、初めて正確な金額がわかる」ものなのです。

機器が決まっていない段階で出てくる見積りは、過去の物件データや経験則からくる概算見積りに過ぎません。

そして、概算見積りは、業者側としては不明な点が多い為、色々な不備が起こる可能性に保険をかける為、見積り金額が高くなる傾向にあります。

その為、使用する具体的な機器(型番など)を、必ず決めてから見積り依頼が出来ると良いでしょう。

機器には、必ず「仕様書」という寸法、電気・水道・ガスの容量が記載してあるものがあるので、仕様書と設置場所を伝えることが機器に関しての完璧な見積依頼と言えます。

仕様書は機器を購入したお店でもらうか、最近ではインターネットからもダウンロードする事ができる場合もあります。

デザインで必要な情報は、コンセプトとお店の仕上りのイメージを正確に伝えるなこと

「デザイン」とは、コンセプトお店の仕上りのイメージです。

コンセプトとは、お店全体を通したこだわりや特徴のことですが、コンセプトに合ったデザインはお店のブランディングにも繋がるため、デザインを決める大きな要素となります。

次に、仕上りのイメージですが、内装に使用する素材や全体の色使いなど、自分の理想とするお店のイメージを、より分かり易く伝えることで、内装会社はデザインをかなりしぼり易くなります。

全てお任せでデザインしてもらいたい場合は、それはそれでよいと思います。

しかし、イメージがあるのに曖昧な伝え方だと、仕上の素材や装飾の金額が大きく変わる可能性もあります。

一番分かり易いイメージの伝え方は、「好きなデザインの内装の写真」を見せることです。

例えば、あなたが見本にしたいお店の写真があれば非常に分かり易いです。

違う業態のお店でも良いので、とにかく雰囲気を伝えることが大切です。

このように、本来見積りを作成する為には必要な情報があり、その情報の明確さが、見積りの正確さに比例すると言えます。

情報が曖昧だと、見積り依頼を受けた内装会社は、経験や予測でのさじ匙加減で見積りをつくることになります。

そして、実際に工事をする段階になって、内容が決まってくると最初の見積金額と違うという事が良く起こるのです。

特に相見積りをとる場合は、何も決まっていない工事を数社に見積り依頼しても、出てきた金額を相対的に比べる事にはならず、相見積りの意味がなくなってしまうので、注意が必要です。

必ず物件の状態を見てもらい、相見積りは3社以上に依頼する

「機能」と「デザイン」が明確になれば、見積り依頼が出来る段階になったと言えます。

実際に見積り依頼をする為に内装会社とアポをとる場合は、必ず入居予定の物件を見てもらい、既存の状態を確認してもらいます。

基本は、電気・ガス・水道などの設備容量が、今から始める業態に合っているかのチェックです。

既存の状態次第では、大きな修繕費用が掛かる場合もあります。

相見積りを取る場合は、以上の同じ条件ですべての会社に見積り依頼をして下さい。

内装会社によって出てくる金額に違いがあるので、最低3社以上から見積りを取り、比較すると良いでしょう。

内装工事の予算ははっきり決めておく

内装会社に工事の依頼をする段階で、「出店する業態」、「入居する物件」は決まっていますが、予算が決まっていない、又は、曖昧な方をよく見かけます。

恐らく、内装工事のことが分からない為、予算の決め手がないからだと思います。

しかし、分からない場合でも、内装工事の予算は、はっきり決めておいた方が良いです。

内装工事に掛ける潤沢な予算があるというケースは稀です。

予算がはっきりしないまま見積りを出しても、結局、実現できる金額には収まらないことがほとんどです。

予算をはっきり決めることは、見積依頼を受けた内装会社が金額的に目指す目標値となり、余計なものをそぎ落としてブラッシュアップする効果もあります。

見積書は設計図に基づいて作られている

内装会社からの見積書は、トータルの総工事費とその金額の内訳が記載されたものが渡されます。

内訳では、一覧で記載されていますが、その内容は、「元請け会社の設計や現場監督の費用」「下請け会社の工事に掛かる費用」で構成されています。

店舗の内装工事は、元請けの内装会社と、下請けとして外注の各専門職の会社が入って行われます。

内装会社が「設計や現場の監督」、その下に、内装会社から依頼された外注として「大工」や「塗装工」や「水道工事店」などの下請け会社が入るといった構図です。

つまり、内訳の「〇〇工事」と書かれている工種は、下請け会社の工事費用が記載されているという事です。

たまに「全ての工種に諸経費が入っているのはなぜ?」と疑問を持たれるお客様がいらっしゃいますが、この諸経費は下請け会社の諸経費を計上しているという事になります。

内装工事の見積書が分かりにくいのは、多くの専門工事が入ることで、工種項目が多くなり、さらに専門用語での記載が多いからです。

工種項目や用語は、設計図に基づいて記載されているので、すべてに記載した根拠があります。

よくわからない場合は、その工種項目や記載用語が設計図のどの箇所に該当するのかを内装会社に説明してもらうと良いでしょう。

見積書から内装会社を見極めるポイント

必要な情報を伝え、見積書をもらったら、次は、いよいよ内装会社を決める事になります。

ここで失敗の無いよう、内装会社の見極めのポイントをお伝えします。

各内装会社から出てきた見積書を比較すると、工種については、ほとんど同じ事が記載されています。

また、その工種ごとの金額についても、業界の相場があるので、そこまでの大きな違いはないと思います。

大きな違いがあるとすれば、「元請け会社の社内利益の設定の差」という事が言えます。

基本的に元請け会社は、下請け会社から上がってきた見積りに、いくらかのマージンを乗せて、見積書に記載します。

物品や機器に関しても同じで、購入費にマージンを乗せています。

元請け会社は、下請けとの打ち合わせ、工事後の責任、品物の発注手間が掛かる為、マージンを乗せること自体は当然のことと言えますが、その割合が内装会社によって違いがあります。

マージンは、個人よりも大きな会社の方が高くなりがちです。また、デザインを得意としない施工店より、デザイン施工の会社の方が高くなります。

費用なのか、デザインなのか、自分が何を大事にするかを踏まえて考えましょう。

また、もう一つのポイントは、見積書の記載方法は会社によって様々ですが、内訳の詳細が如何に細かく記載されているか、という点は大切です。

各工種に詳細項目が書かれて無く「一式」で金額の見積りがだけが記載されている場合があります。

「一式」表記の場合は、ほとんどの場合、経験則や概算といった、いわゆる「どんぶり」で記載された金額という事が言えます。「どんぶり」が悪いとは言えませんが、それだけ「誠意」は無いと言えます。

相見積りで同じ見積金額の会社があったとしたら、やはり誠意の無い会社は避けるべきです。

実際に工事に入ったときも、同じような結果になるからです。

それ以外には、会社の実績も比べるポイントです。

今までどのような工事をしてきたのか、実績がある会社であればHPで確認できると思います。

また、会社の理念や、社長や工事担当者の人柄も重要です。

内装工事は、アクシデントがつきものなので、アクシデントが起こったときにどのような対応をしてくれるのかは、会社の理念や人柄によるところが大きいと言えます。

以上が、見積りについてのノウハウですが、ご理解いただけましたでしょうか?

正しい見積りを取って、あなたの理想のお店造りに是非役立てて頂きたいと思います。