美容室開業時の内装工事費の目安は、坪単価で計算することが出来ます。お店の広さに坪単価を当てはめますが、デザインのグレードによって坪単価は変わってきます。注意点は、お店が小さいと坪単価が割高になる傾向になるので、坪単価の概念を正しく理解した、正しい物件選びをおススメします。
お店開業時の内装工事費の目安は、坪単価で計算する
内装工事費用の目安として、「坪単価」という試算方法があります。
初めて美容室をオープンする方にとっては、内装工事の費用はピンとこないものですが、
内装工事は、お店を開業する際に大きな費用が掛かります。
なんとなく進めていては、事業計画に支障をきたす恐れもあるので、特に慎重に考えなければならない部分です。
お店開業でつまずかないよう、「坪単価」という概念ををよく理解し、資金計画に反映しましょう。
「美容室」の坪単価を物件の広さに当てはめて考える
そもそも、坪単価とは何なのかというということですが、
内装工事においての坪単価とは、内装の総工事費を床面積で割り、1坪(3.3平方メートル)に当てはめた金額を指します。
つまり、物件の広さから内装工事費を計算する事ができ、内装業者に見積りを取る前に、内装工事費を知る目安となります。
例えば、開業予定の物件の床面積が10坪の場合、坪単価が50万円であれば、内装工事費には、500万円掛かるという事が計算で分かります。
坪単価は、お店の業態によっても違うので、「美容室」という業態の坪単価を物件の広さに当てはめて考えます。
美容室のデザインは坪単価から判断できる
一言で、美容室のデザインといっても、内装デザインにもいろいろなスタイルやグレードあります。
坪単価を把握する事は、どの程度のデザインのお店になるかを判断することにも繋がります。
坪単価はデザインのグレードに反映されにる
「美容室」の内装工事に掛かる坪単価は、30万円~60万円程度です。
金額に開きがありますが、これは、簡単に言えばデザインのグレードによる違いと言えます。
坪単価30万円~の工事の内容としては、美容室としての営業ができる為の、最低限度の機能を満たした内装工事と考えると良いでしょう。
セット面やシャンプー台などの「機能面」以外は、床・壁・天井などの仕上げのグレードが低くなります。
具体的には、天井と壁はビニールクロスや塗装仕上げ、床はビニールシートなどの安価な仕上げ材となります。
機能面はもちろん、デザインにもこだわりたい場合は、坪単価60万円程度を最大と考えます。
デザインにこだわる場合は、主にデザイン会社に依頼することになるので、デザイン料が工事費とは別途で掛かります。
因みにデザイン料の相場は、工事費の10%~20%と言われ、工事の費用が、100万円であれば、10~20万円のデザイン費用という事になります。
また、内装に使用する素材のグレードも上がり、造り込んだ造作などを入れることで、坪単価が高くなります。
壁はモルタル仕上げ、床は無垢フローリング張りなどの高級素材が使えます。
受付カウンターやセット面カウンターなどの什器にも無垢の木材や、金属板などの素材での造り込んだ造作が可能となります。
実際の坪単価例
では、実例から坪単価を見ていきましょう。
以下に、写真のデザインの美容室を造ったときの工事費用を記載します。
美容室(10坪程度 セット面2台、シャンプー台2台)
※美容機器、シャンプー台、椅子の費用は含まれていません。
⑴造作工事 | 受付カウンター、セット面カウンター | 40万 |
⑵木工事 | 無垢フローリング張り | 40万 |
⑶塗装工事 | 躯体天井・壁、サッシ | 30万 |
⑷間仕切り壁 | トイレ、バックルーム | 15万 |
⑸トイレ内装 | 床・壁・天井仕上げ、便器、手洗い器 | 25万 |
⑹建具工事 | トイレドア | 8万 |
⑺家具工事 | シャンプーキャビネット | 15万 |
⑻電気工事 | 配線工事、照明器具、スイッチ・コンセント | 50万 |
⑼水道工事 | シャンプー台用配管、便器・手洗い器配管設置 | 40万 |
⑽ガス工事 | 給湯器配管・器具費 | 20万 |
⑾空調工事 | 新規天カセエアコン4馬力、機器設置費 | 40万 |
⑿換気工事 | 店内・トイレ換気扇配管、設置 | 25万 |
⒀防災工事 | 誘導灯、感知器、消火器、申請 | 20万 |
⒁設計・施工管理費 | デザイン、現場管理、現場経費 | 40万 |
⒂解体工事 | 既存内装解体 | 30万 |
⒃産廃処分費 | 工事中発生産廃 | 5万 |
合計443万円
10坪程度の広さなので、坪単価は44万円となります。
この物件は、既存の内装が残っていた為、解体費がかかっているのと、シンプルでありながら、内装の仕上げや什器などの素材は高級なものを使用しています。
お店が小さいと坪単価は割高になる
10坪の店舗は、美容室の中では小さいお店の部類となります。
セット面とシャンプーが2台づつ置けるくらいの広さです。
美容室を運営する上では、最低限の広さともいえるかもしれませんが、実は、お店の広さが小さいと坪単価に関しては上がる傾向にあります。
その理由は、お店の大きさに関わらず、「必要不可欠な工事」が発生する為です。
店内にトイレを造ったり、給湯器の設置やエアコン、換気扇の設置、防災関係などは、広さに関係なく必要な工事です。
逆に、広さによって変わる部分は、床・壁・天井の仕上げ面積や、シャンプー台の機器数によっての配管工事、照明器具設置などです。
全体の割合としては、必要不可欠な工事が6~7割、広さによって変わる工事が3~4割位と考えます。
その為、お店の広さが小さいからといって、単に工事費が下がるというわけではなく、坪単価は割高になってしまうのです。
坪単価の概念を正しく理解し、正しい物件選びをする
このように、坪単価の概念を理解し、開業予定の物件と照らし合わせて、工事費用を割り出してみて下さい。
工事費用の感覚を分かったうえで、内装業者に見積り依頼をすれば、対等な話し合いが出来ると思います。
また、これから物件を検討するという場合は、単にお店が小さいから工事費が安くなるわけではないという事を理解する事が大切です。
そして、事業計画と照らし合わせ、理想に合った正しい物件選びに反映できると良いでしょう。